« 狼疾 | トップページ | 三島由紀夫のお茶漬け観 »

2004.07.15

ルーヴル・ライト

この壮大な建造物全体を一望にとらえようとするわが目のむなしい試みに、ラングドンはいつもながらかすかな驚きを覚えた。美術館は圧倒的なまでに広い敷地を占め、堂々たるファサードが城砦のごとくパリの空を切りとっている。

 巨大な馬蹄型をしたルーヴルはヨーロッパでいちばん水平方向に長い建物であり、エッフェル塔を寝かせて三つ並べても足りないほどだ。美術館の各棟に囲まれた百平方フィートの広場でさえ、ファサードの大きさが漂わせる風格にかなわない。ラングドンはルーヴル全体を隅々まで歩いたことがあるが、信じられないことにそれは三マイルもの道のりだった。
 この美術館に展示された数万の作品をすべて鑑賞しようとすれば約五週間かかるそうだが、旅行者のほとんどは省略コースをとる。ラングドンはそれを"ルーヴル・ライト"と呼んでいた。最も有名な<モナ・リザ>、<ミロのヴィーナス>、<サモトラケのニケ>の三点を観るために、館内を全速力で駆け抜けるわけだ。かつてコラムニストのアート・バックウォルドが、この三大傑作を五分五十六秒で観てまわったと誇らしげに書いていた。

ダン・ブラウン『ダヴィンチ・コード上』角川書店2004年
注:3マイル=4827メートル(1609メートル×3)

|
|

« 狼疾 | トップページ | 三島由紀夫のお茶漬け観 »

美術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26560/963612

この記事へのトラックバック一覧です: ルーヴル・ライト:

« 狼疾 | トップページ | 三島由紀夫のお茶漬け観 »