77歳と67歳の勝負
宇宙飛行士ジョン・グレンが言い放った見事なジョーク。
ジョン・グレンは、1962年にフレンドシップ・セブンという宇宙船でアメリカ人として初めて地球周回飛行を行った英雄です。後に政治家に転身し、上院議員を20年以上も務めていました。その現職上院議員ジョン・グレンが1998年、77歳で再び宇宙飛行を行うことになったのです。そんな老齢で宇宙飛行を行う目的は、無重力が老人に与える影響を調べることにありました。
さてジョン・グレンの宇宙飛行が正式に決まってから記者会見が行われました。その記者会見で、ジョン・グレンに向かって一人の記者が言ったのです。
「無重力が老人に与える影響を調べるための宇宙飛行なら、上院議員のあなたがわざわざ行わなくてもイイんじゃないでしょうか。現役宇宙飛行士としてジョン・ヤングがいるんですから、ジョン・ヤングが行えば済むことじゃないですか」
ジョン・ヤング(John Young)は1972年にアポロ16号で人類史上9番目に月面に降り立っていますが、その後もずっと現役宇宙飛行士のままです。その記者会見の時は67歳でした。たしかに、無重力が老人に与える影響を調べる飛行なら、77歳の上院議員ジョン・グレンがわざわざ行わずに、67歳の現役宇宙飛行士ジョン・ヤングが行えばイイのかもしれません。アメリカの記者は辛辣な質問をしたわけですね。でも、この質問に対して、ジョン・グレンは慌てた素振りなど一切見せずにニヤッと笑って、こう答えたのです。
「He is too young.」(ヤングじゃヤング過ぎるんだよ)。
この粋なジョークに記者会見場は爆笑に包まれ、辛辣な質問は二度と発せられませんでした。
私は、日本の国会議員の方々にアドバイスしたいですね。少しはジョン・グレンを見習って、粋なジョークのひとつでも言うように心掛けた方がイイと思いますよ。そうすりゃ、失言も減るかもしれないし。
向井万起男「渡る世間は数字ばかり」/『週刊現代2004.7.31』
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