血液・リンパ液の鬱滞
慢性筋肉疲労による自律神経の誤作動で病気になるというケースのほかに、慢性筋肉疲労がリンパ液の流れを阻害して内臓疾患をきたすという、また別のメカニズムもある。
筋肉が疲労してカチカチに硬直していると、リンパ管が圧迫され、リンパ液がスムーズに流れずに鬱滞し、その近隣の内臓に異変を起こす。
以上のような説明は、しかし、なかなか理解してもらえないかもしれない。なぜなら、リンパ液(リンパ)やリンパ管のことが意外と知られていないからである。そこで、まず血液の流れと対比しながら、リンパ液の流れについて説明することにしよう。
血液は、心臓がポンプ役となって送り出されている。その血液を送り出す血管が、動脈である。いうまでもなく動脈血は、酸素や栄養素を全身の各組織に運ぶ役割をしている。動脈は抹消部分で毛細血管となって筋肉(骨格筋)に入り込み、そうして血液が体内すべてに行き届く。
毛細血管の部分で、ふつう血液成分のうちの水性の血漿が血管からにじみ出る。その水分を組織液といい、これが組織細胞の間隙に存在して酸素や栄養素を各細胞に供給し、また二酸化炭素や老廃物を受け取って血管に戻すことを行い、いわば調整している。
ちなみに組織液に託して酸素や栄養素を各細胞に供給し終えた血液は、こんどは二酸化炭素や老廃物を受け取って運び去る役割をはたすことになる。その逆流(還流)は、静脈を通して行われる。
動脈では心臓をポンプ役に血液が流れるが、静脈では骨格筋がポンプ役をしている。
骨格筋が自在に収縮することで、血液の流れる力が生まれるのである。そういうわけで骨格筋は"第二の心臓"と呼ばれる。なお静脈の構造は一方弁になっていて、それで血液が心臓へと戻る流れの方向が決まる。
ところで、役割を終えた組織液や余剰の組織液は、リンパ管に入る。リンパ管に入ったものが、リンパ(リンパ液)である。リンパ液は、胸部や鎖骨下で静脈に吸収され、また血漿成分になる。
リンパ管も、静脈と同様の構造になっている。一方弁になっていてリンパ液の流れの方向が決まり、やはりリンパ管に接している骨格筋の働きがリンパ液の流れをつくりだしている。リンパ管にとっても骨格筋は、いわば"第二の心臓"なのである。
さて、以上の血液やリンパ液の流れに異常が発生すると、なんらかの障害が起こるか、病気になる。
福増廣幸『奇跡の「触手療法」』プレジデント社1994年
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