平成の女がいちばん幸せ
宮尾 あの時代の女の人は大変だったと思うのよ。私ね、あのころの男の人の遊びを読んで、腹が立って、腹が立ってね。婚姻なんていうのはどうでもよくて、上の位の男性は嫡妻、本妻、妾妻と、いろいろと許されてる。上の位はまだいいわね。下の者なんて、男女の関係になって子供が生まれても、責任をとる男はめったにいなくて、たいていはほったらかしよ。みじめなものですよ。
林 お金ももらえないし、子供を産んだら、はい、さようなら・・・・・・。
宮尾 そうですよ。私、いままでに女の生涯を題材にした小説が何作もありますけど、いつも書くときに、「この女の人は幸せであったかどうか」ということを常に考えながら書いてきました。「平家物語」の女の人は、最も幸せでなかったわね。いまの私たち平成の女の人がいちばん幸せ。林さん、そう思わない? あなたなんか、五重丸の幸せよ。全部満たされたでしょう。
林 先生、そんなことないですよ。人間、欲が深いですから。
宮尾登美子/マリコのここまで訊いていいのかな『週刊朝日2004.6.11』
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