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2004.06.01

心の問題

戦後、経済成長のなか、一般の家庭でも豊になり経済規模が膨らんで、縮小できなくなりました。みんなローンを抱えて、子供には高い教育費を投資している。そのなかで置き去りにされたのが、ゆっくり考える、人間らしく生きる、モノをもったいないと思うといった心性です。生きにくくなるのは当然です。

 何もなくたって、体をぶつけ合って暮らすほうが、人間らしく生きられる。終戦後をいま振り返るとそうだったと思うし、阪神大震災のあとも、被災した人たちのなかで互いに助け合う連帯が生れました。人間、何もかも失って裸になったとき、自然に助け合うようになる。災害は悲惨ですが、あの時、そしてバブルの崩壊後、日本人はもう一度、人間らしく生きるというテーマについて考えるチャンスがあったと思います。
 不寛容であるとかバッシングの問題は、マスコミの報道のあり方も関係している。個人情報が商品化され、受け取る側も情報中毒になって、自ら考えることをしなくなった。考えるということは、自分の心を見る、ということですが、テレビはそのヒマを与えない。一度、音を消してテレビを見てごらんなさい。ものすごいスピードで絵が流れていくのがわかりますよ。
 私はいま、大人に絵本を読むことを勧めています。短い文と絵から、何を読み取るか。生き悩む大人が考えるためのいい訓練になりますよ。
柳田邦男/親子三代にわたる心の連鎖『サンデー毎日2004.6.13』

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