肝心なのは3球目
ストライクゾーンからそれた球は、打者の勝ち目を大きくしてくれる。したがって、振らないにかぎる。ところがアスレチックスの下位打線は、みすみす投手の手助けをしているわけだ。
アスレチックスのフロントは、相手ピッチャーがどんな球をどこに投げたかすべて記録している。それをもとに、各打者がボール球にどのぐらいの割合で手を出しているかを計算するのだ。打席ひとつずつが小さな試合のようなものであり、勝率はつねに変化する。投手が誰で打者が誰なのかはもちろん、ほかにもさまざまな要素が、勝負にかかわってくる。いうなればブラックジャックの持ち札と同じで、カードが1枚配られるたびに状況が変わる。たとえば、第1球がストライクだと、バッターの打率は約7割5厘下がる。ボールだと逆に同程度アップする。しかしなにより注目に値するのが3球目だ。「1-2になるか2-1になるかで、結果の予想が大きく変わります。ワンストライク・ツーボールなら、メジャーリーグの平均打者がオールスター級の打者に変身する。ツーストライク・ワンボールなら、貧打者に成り下がるんです。世間では初球のストライクが肝心だ、といいますね。でもじつは初球なんて、3球のうちの1球にすぎません」
マイケル・ルイス『マネー・ボール』ランダムハウス講談社2004年
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