医学部の教育制度
医学知識の豊富さはよい医療につながるか
医学の知識が増加し、学生は勉強すべき内容量がどんどんふえている。入学後二年間あった教養教育はどこの大学でも一年に短縮されている。そして勉強しておぼえる量だけでなく、卒業試験や国家試験の問題量も増加の一途をたどっている。
卒業した医者には専門医制度や生涯教育が待っていて、さらに臨床試験に加えて知識量をふやすように期待されているように思う。
ではこのように知識量を豊富にした医者が患者をよく治せるかというと疑問である。医者は知識偏重で思考がマニュアル化しており、自分の頭でものを考えることが少なくなっているような気がする。
マニュアル化から、あるいは洗脳された学問から抜け出すには十年とか二〇年の歳月が必要である。
よく勉強した秀才の医者などは二〇年くらい(時には退職間際になって)経って、やっと知識の呪縛から逃れるに至るのである。自然を素直に見る目は知識から解放された時に初めて目覚める。
特に、大学や大病院にいる専門家ほどこの呪縛から逃れるのが困難なような気がする。
多分野においてはいろいろな研究の大発展のきっかけも、自由な心をもった人がこれを成し遂げることが多いことからもわかる。
安保徹『医療が病をつくる』岩波書店
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