ほっちゃれの青春
産まれた卵に精子をかけ終わるとサケは死ぬ。北海道では、青春から瞬時に死へと突き落とされる寸前のサケを「ほっちゃれ」という。もちろんこれは人間にも引用される。「あいつはほっちゃれだよ」と。
サケが成熟すると性腺のステロイド・ホルモンの分泌が増加する。その結果、血中の副腎皮質ホルモンの濃度が五倍以上に増加する。この副腎皮質ホルモンの濃度が高くなることによって、サケのからだは劇的に変化すると考えられている。
性ホルモンの働きによって、一時的に副腎皮質ホルモンの濃度を高くすることによって、からだの中のすべてのエネルギーは生殖に向けて集中的に発揮し、それがすんだときには、からだは使いはたされて死に至る。ここには老化はなく、青春から瞬時にして死へと突き落とされるのである。
柳澤桂子『われわれはなぜ死ぬのか』草思社P42
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