筋肉の危急時に活躍するクレアチン
自然界は生物が天敵におそわれたりした際に全力で逃れるため、非常事態に備えて筋肉の燃料を備蓄するしくみを発達させた。この備蓄燃料は、日本が非常事態に備えて石油を備蓄していることに例えられよう。
ATPは筋肉中に大量に含まれるクレアチン(Cr)という化合物との間で高エネルギーリン酸結合(~P)を互いに受け渡すことができる。この反応は、
ATP+Cr→←ADP+CrP (6)
と表される。この反応を高エネルギーリン酸結合を用いて書き直すと、
ADP~P+Cr⇔ADP+Cr~P (7)
ATP クレアチンリン酸
となる。つまりATPはクレアチンに高エネルギーリン酸結合(~P)をゆずり渡してADPになり、クレアチンは~PをATPからもらってクレアチンリン酸となる。
また(7)式で化学反応の進行方向を示す矢印が左右両方向に書かれているのは、逆にクレアチンリン酸がADPに高エネルギーリン酸結合(~P)をゆずり渡しATPをつくることができることを意味するこの両方向の反応をローマン反応といい、これによってATPの高エネルギーリン酸結合(~P)は大量のクレアチン酸の中にうつされ、ちょうど現金を銀行に預金するように貯蓄される。貯蓄された~Pは必要に応じて直ちにADPと結合しATPとして利用されるのである。つまりクレアチンリン酸が、生物の危急の際筋肉を全力で働かせるための備蓄燃料となる。
筋肉が全力で働き始めると筋細胞内にあったATPはあっという間に消費されてしまう。しかし(7)式のローマン反応が直ちに逆方向に進行してADPに高エネルギーリン酸結合(~P)を受け渡してATPをつくり出し筋肉に供給する。この筋肉の危急に備えての備蓄燃料貯蔵をクレアチンリン酸プールという。
杉晴夫『筋肉はふしぎ』講談社ブルーバックス2003年
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コメント
からだの中の化学反応を理解するのは、なかなか難しいですね・・・
「クレアチンリン酸が、生物の危急の際筋肉を全力で働かせるための備蓄燃料となる。」
っということは、、、、
クレアチンリン酸がからだの中に十分に蓄えられていれば、いざとなったら、火事場の馬鹿力!が発揮できるってことなんでしょうか
瞬間的に大きな力を発することは、日常生活では、緊急事態以外あまりないと思うのですが、、、、
たとえば、
海水浴をしていて、知らず知らずに沖に流されちゃった時があり、かなり必死でビーチめがけて泳いだ記憶がありますが、そういう時の馬鹿力!の発揮にも役立つということですよね。
緊急時にとっさに対応できる逞しさ!を身に着けたいものです
投稿: アズノンちゃん | 2009年10月20日 (火) 11時10分